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【多文化共生インタビュー】きっかけは意味不明な採用活動への疑問。ソーシャライズ代表中村氏が語る多文化共生を会社で実践する方法とは

皆さま、こんばんは!ボーダレスハウスサポーターのなみです。
香川在住の高校3年生で多文化共生や多文化理解に関心があって、ボーダレスハウスのイベントを参加者として参加していたのですが、今ではボーダレスハウスのサポーターをやってます!

ボーダレスハウスでは多文化共生にまつわるオンラインイベントを9月からスタートさせました。オンラインイベントに関してはこちら

第一回目が9月3日に開催され、外国人労働者の第一人者である若手起業家中村拓海さんと岡村アルベルトさんを講師としてお招きして日本の外国人就労の現状とビジネスとしての多文化共生社会創りについてお話してもらいました。

イベントの内容はとても濃かったのですが、90分という短い時間ではまだまだゲストの方にお聞きしたいことがたくさん…

そこで今回の記事では、もっと多文化共生についてゲストの想いを引き出すために高校生の僕がリポーターとして株式会社ソーシャライズの代表の中村さんにインタビューしました!

イベントの中身をチラ見せしつつ、中村さんの事業に取り組む姿勢から多文化共生社会を作るヒントをレポートしていきます。

〈イベントレビュー〉若手起業家が語る日本の外国人就労の今と未来

オンラインイベントでは、中村さんは外国人就労をテーマに自分の大学時代の経験や現在行なっている事業や日本企業の実態の事例を交えて、いかに外国人が日本の企業で就職することが難しいのか、日本の企業が外国人をただの労働力だ思っている問題点を伝えてくれました。
下記では、簡単にイベント内でのポイントをピックアップしてご紹介させていただきます。
オンラインイベント開催概要について

中村さんは大学生時代の留学生の友達が日本企業で就職活動している時に、面接も受けれずに全ての企業を落ちていったのを見て、自分はこんな日本企業に就かずに、自分で会社を立ち上げたほうが良いと考え、起業されました。

株式会社ソーシャライズは外国籍の人を取りたいと言っている日本の企業の「採用」と「育成」と「活躍」と「定着」の4つのサービスを提供している。また、学校などと連携して幅広い就職支援プログラムを開発して実施しています。

〈株式会社ソーシャライズ代表中村拓海さんのプロフィール〉

1990年生まれ。自身の経験から、外国人留学生の積極的採用・積極活用の新時代を創る事業構想を思い立ち、東京外国語大学在学中の2014年11月に起業。外国人専門の人材コンサルタントおよび留学生専任キャリアアドバイザーとしてマッチングに取り組む。そのノウハウを集約して2020年2月に高度外国人材コミュニティ"WEAVE"をスタートさせ、人材の多様化とイノベーション創出を目指す。
株式会社ソーシャライズ

日本での留学生全体の就職率は25.7%

まずは留学生支援についてです。日本での留学生全体の就職率は26.6%。これはとても低い数字です。
なぜこんなに低いのか、それは留学生は就職に伴い、日本語、就職情報、時間、資金、在留資格の5つの壁にぶち当たってしまうからです。
そこで、ソーシャライズでは留学生の支援は5つの課題を20タイプの留学生に当てはめて必要な支援を提供しています。

● 平成30年度の卒業・修了留学生総数:100,893人(出所:JASSO『平成29年度外国人留学生進路状況・学位授与状況調査結果』)
● 平成30年度の企業等への就職を目的として行った在留資格変更許可申請に対して許可した数:25,942人(出所:法務省『平成30年における留学生の日本企業等への就職状況について』)
● 25,942 / 100,893 = 25.7%

外国人を雇いたいというニーズ少ない

中村さんが7年間事業活動をしてきて気づいたことは外国人を雇いたい企業が少ないということです。これが外国人採用をする上での問題です。

日本企業は「問題なく働けるなら外国人でも良い」とは言いますが、本音では日本人を雇えないから最悪、外国人を雇えば良いと考えています。

また「国際関係なく、優秀な人を取る」とも言われていますが、実際には、”優秀さ”が”表面上の日本語力”ばかりで判断されている実情があるのです。

支援すべき外国人が見えてない

一件沢山の外国人が日本に在留しているように見えますが、実際にはごく一部の国が大半を閉めています。
少ない数の国の人々から日本社会は外国人に関する一般化をする傾向があります。
例えば、中国人は自分勝手で怒りっぽい。イギリス人は食に無頓着。ロシア人は無愛想で冷たい。インド人はターバンを巻いている。
もちろん、一般化することによって違いは分かりやすくなりますが、理解と判断を誤ってしまうこともあります。中村さんは毎年500人の外国人労働者と話していますが、一国のイメージで捉えるのではなく、目の前の個人を尊重しなければ本当にその人に必要な支援は見えてないのではないでしょうか。

中村さんの講義からは日本の外国人就労の問題点が沢山見えてきました。

【イベント後インタビュー】日本の企業が外国人労働者を雇う気もないのにダイバーシティやグローバルとか言うべきではない

イベントでは伝えきれなかった想いや、イベントに参加できなかった皆様にももっと内容を深く知ってもらうために、イベント終了後に、中村拓海さんにインタビューさせてもらいました。

イベントの中で、外国人が日本で働くサービスだと捉えたときには、企業と人をつなぐリクルーティングのイメージでしたが、ソーシャライズは繋ぐ役割を果たすだけでなく、外国人労働者の方の日本語教育などのケアをしていること、本質的に海外の方が必要としているアプローチをしているという点がとても印象的でした。

なみ:イベントのなかで起業を目指されたきっかけは大学の外国籍の同級生の就職活動への違和感だと仰っていましたが、そもそも中村さんが外国や異文化に惹かれた理由はなぜだったのでしょうか?
中村氏:きっかけは高3の受験準備のときです。それまではバドミントンに打ち込んでいて、まったく異文化や外国を強く意識したことはありませんでした。
しかし、高3の受験準備の時に、日本の大学受験制度にとても違和感を持ち、海外の大学に進学することを思いつき、バイトで資金をためてカナダのバンクーバーに行きました。
残念ながら、一か月で資金は底を尽きてしまい、進学せずにすぐに帰国したんですが、その一か月だけでも新しい文化に出会ったり、どんどん自分の価値観が変容していく楽しさを知りました。そして東京外大に進む決断をしました。

なみ:高校生の頃から違和感に対し、行動を起こす中村さん、すごいパワーだと思いました。異文化に触れる環境に身を置くことから外大と仰っていましたが、数ある大学のなかからなぜ東京外大を選んだんでしょうか?
中村氏:その理由は僕が11歳の時にあったアフガン戦争にあります。アフガン難民の存在を知り、何かできることはないかと考えて、最初パシュトゥー語を勉強できるところを探していたんですが、パシュトゥー語がなく、「それなら隣のウルドゥー語を勉強しよう」ということで東京外大に決めました。

このアフガン難民との出会いが、僕の起業の想いにも繋がっています。

なみ:アフガン難民への想いがイベントの中でも話されていた「Difference is Value」というモットーに繋がっているんですね。それでは、中村さんがソーシャライズを通して、ご自身の変化と課題についてを教えて下さい。
中村氏:いっぱいあります。(笑)
仕事の内容の面でいうと、起業したからこそ、全部自分でやれるようになったのが変化だと感じています。

英語で授業したり、面談したり、ウェブサイトを作ったり、動画撮影編集したり…普通に就職してたら、こんなこと絶対しませんし、できません(笑)割と何でもチャレンジできるようになりました。

課題としてはビジョンを体現してくれる仲間を見つけたり、どうやるのかを伝授したりするのが苦手なので、価値観が広がっていきにくいことが課題で、今後はそこを強化していきたいですね。

なみ:なるほど、何でも自分でやる!!というのはまさに起業家な気がしますね。では 事業を続けている中で現在感じているやりがいとはなんですか?
中村氏:就職決まった人が初任給でにご飯を奢ってくれることですかね(笑)
ただのビジネスライクな関係ではなく、ちゃんとその人と向き合って築き上げてきた信頼や距離感だからこその出来事だと思っていて、これは人と人の繋がりをベースにして関係が切れてないことの証明ですし、とても大切にしたい経験です。

就職した後も、関係性が続いていく方が多く、それがやりがいに繋がっているし楽しいです。

なみ:日本の会社の意識で、足りないと感じること、違和感を感じることはなんでしょうか?
中村氏:語っている言葉と実態が異なることにとても違和感を覚えます。
外国人を受け入れるのが良くて、受け入れないのが良くないということではなく、問題点は企業がダイバーシティやグローバルなどのキーワードを掲げて、違いを持った外国人を募集しているにもかかわらず同質の人しか雇わないことです。
そのキーワードに惹かれて、日本語を一生懸命勉強して来てくれたのに実際には迷惑がられたりする。それってすごく理不尽じゃないですか?
SDGs、グローバル、ダイバーシティ…流行りの言葉は使うのに実情は上場企業でも外国籍社員は平均して全体の0.26%しかいない。
それらの言葉を語るならもっと多様化しようという努力が数字に見えるべきだと思います。

なみ:海外の移民政策や、就労の事例で成功している事例や、多文化共生が成し遂げられている事例があれば教えてください。
中村氏:カナダでイマージョン教育をして、自分たちのコミュニティの仲間として外国人を引き受けている事例があります。
あと、経済規模の観点からで上手くいっているのはシンガポールでどの国からどういう役割を担う人何人まで受け入れるか、枠組みを決めて就労許可証を発行していて、マネジメントが成功していると聞きます。

なみ:外国人人材が現在「安価な働き手」として扱われて、人権意識が欠けている状況があると思いますが、こちらの原因や解決策はあると思いますか?
中村氏:解決策は世代間にギャップがあるということを知って、対話し続けことしかないですね。
例えば、実際にお客様のなかでも中国の方を「シナ」と呼ぶ方がいます。僕らからしたらとても差別的な発言だと違和感を感じますが、世代によっては周りが当たり前に使ってきたから何の気なしにその言葉で人を形容します。
世代間にそういう格差は必ずあるんです。だからこそ知るため、違和感を確認し、改善し続けるために対話は必要なんです。

なみ:セミナーの中でもありましたが、withコロナの日本の外国人就労はどうなっていくと思いますか?
中村氏:コロナの影響で経済規模が縮小しています。そのため、企業が経済活動したくても、需要がないので投資ができないのです。また、企業はコストカットするために、一番最初に減らすのは地代家賃や人件費などの間接費で、外国人社員も実際に解雇されています。
中には不当解雇と思われるケースもあるのですが、彼らは労働基準法を知らないから、労働基準監督署に駆け込むことはないし、不利な扱いをしても訴えることはないと雇い主は知っているのでしょう。
国籍の違う人はマイノリティであるが故に弱い立場に陥りがちであり、法律や制度によるセーフティネットを利用できないことも多くみられます。その弱みにつけこむ事例も残念ながら見受けられます。

本来、外国人労働者は合法な在留許可を手に入れないといけないのに、働けず困っていることを利用して、不法に就労を斡旋する業者も存在しています。

日本の企業がそういった弱みを握って外国人を利用することはひどいことですし、変えていきたいですね。

なみ:多文化共生について読者に中村さんが持っていただきたい考え方や、伝えたいことがあれば教えてください。
中村氏:違いを楽しむことです。
僕が外国籍の人と仲良くなりたいのは自分の知らないことを教えてくれて楽しいからです。人間は楽しいことがないと物事を続けることはできないと思いませんか?
持論ですが、理想的なダイバーシティとはダイバーシティを推進して外国人労働者を無理に募集するのではなく、違いを楽しんでいたらいつの間にか人が集まって気づいた時に、いろんな人がその場がいて、ダイバーシティな世界になっていること。
振り返ってみたら、ダイバーシティってのが僕は素敵だし、理想だと思っています。

なみ:振り返ったら、ダイバーシティだった、とても素敵ですね。中村さんの熱量がとても感じられる貴重なお話ありがとうございました!
先日のNHK worldにて、留学生の就労支援の様子を取材されております。ぜひ合わせてご確認ください!

【NHK world取材記事】Foreign Students - Japan's Future
※英文記事になっています。

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なみのイベント&インタビュー感想

今回のイベントは自分の興味のある外国人労働者についての内容でとてもワクワクしました。今の日本は、少子高齢化で働く人が少なくなっていく中で、外国人の方の労働力はとても大きな力を担っています。

イベントで中村さんのお話を聞いてみて、日本の企業はただただ、グローバルやダイバーシティと語っているだけで、自分のメリットのことしか考えていない企業が多いことにショックを受けました。

今、日本は、外国人のことを労働力として思うのではなく、一個人としてしっかりと尊重すべきだと思いました。将来、社会を担う我々、若者がそういった意識を今のうちから持ち、今より外国人労働者が働きやすい環境になり、日本を本当の意味でのダイバーシティを創り上げていきたいです。

今後のオンラインイベント開催情報について

株式会社ソーシャライズ WEBサイト

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written byBORDERLESS HOUSE